兵庫県 精神科総合病院 医療法人社団 東峰会 関西青少年サナトリューム
神戸市にある精神科の専門病院です。
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診療案内
治療への取組み  新たな治療法やケア、ご家族のサポートなどに取組んでいます。
私たち医療法人社団東峰会 関西青少年サナトリュームでは、新たな治療法やケア・サポートに取組みをしています。
精神科の治療は、患者さんに寄り添い取り組むため、お一人お一人の環境や状態によって、方法や期間は様々です。
患者さんのライフクオリティを高めていけるよう、各部門専門スタッフとチーム連携をしっかりと取りながら、寄り添う医療に取り組んでいます。

ECT
電気けいれん療法(electroconvulsive therapy)
ECTは重い精神障害の方に行われる治療です。 例えば、気分障害では、重いうつ病や躁病、あるいは統合失調症では、緊張型と呼ばれるようなタイプの患者さんなどです。 日本うつ病学会のガイドラインにも記載がありますが、当院で行うのは修正型ECTと呼ばれる治療法です。
普通、他の治療法で効果が見られなかった場合や、他の治療法を使えない場合に行います。 ECTでは、サイマトロンという治療器具からごく短時間、頭につけた電極を通して電流が脳に流れ、けいれんが起こった時のような脳波が生じます。
麻酔科医によって全身麻酔をしたうえで、筋肉の緊張を起こしにくくする薬を使った状態で行うので、実際には、患者さんがけがをしたりすることはありません。
ECTを行うかどうかについては、委員会を設け慎重な検討を行うことになります。
治療回数は通常6〜12回ほどです。
ECT(電気けいれん療法)とは
ECT(電気けいれん療法)とは、全身麻酔下に額から電気的刺激を加えて、脳にてんかん発作と同じような発作活動を起こし、これによる神経生物学的効果を通して、症状の改善を得ようとする治療法です。
うつ病や統合失調症の精神症状に対し非常に有効性の高い治療法ですが、必ず効果が出るとは断言できません。 また、薬物治療よりは効果は迅速と言われていますが、早く効果が出る場合もあれば、ゆっくりと改善していく場合もあります。 一般的にその効果は持続性ではないため、改善した場合でも再発予防のため薬物療法や継続的なECTが必要となります。
ECTの適応
ECTの適応となるのは統合失調症、双極性障害、うつ病の方で、以下のような状況にある場合です。
●病気のため動くことができない、食事が食べられないといった切迫した状況である方。
●薬物療法などの他の治療法よりも、効果や副作用の面でECTの方が安全と考えられる方。
●過去にECTで良い効果があった方。
ECT治療の流れ
当院でのECTは、入院をしたうえで行います。 治療は約10回を1クールとし、週2回の頻度で、1ヶ月半〜2ヶ月かけて行います。 治療前には以下の検査が必要です。人によっては薬物調整も必要になります。
検査
治療の前に以下の検査が必要となります。
・血液検査・心電図検査・胸部レントゲン検査・頭部CT検査
準備
全身麻酔下での治療のため、一般的な手術と同様に前日から絶食となります。治療2時間前からは水分もとれません。 治療を安全に行うためには必要なことであり、必ず守っていただくために、治療前夜は施錠のできる部屋で過ごしていただきます。
治療
1回の治療は全身麻酔の時間も入れて約30分ほどです。
治療は精神科医 1名、麻酔科医 1名、看護師のもとで行います。治療の流れは、大まかに以下のようになります。
 1.点滴をする
 2.心電図計や血圧計をつける
 3.額に刺激用の電極を貼る
 4.点滴から静脈麻酔の注射をする
 5.眠っている間に、額表面から数秒間通電を行う
 6.麻酔から覚めるのを待って、部屋に戻る
治療後
治療終了後は、2時間は安静が必要です。問題がなければ、2時間以降は普段どおり過ごすことができます。
合併症と危険性
全ての治療に副作用があるように、ECT治療にも以下のような副作用があります。
治療直後に多い症状は、数時間から数日でおさまります。 治療期間中に起こりうる症状は、1クール終了後数週間程度でおさまります。 しかし、症状がひどい時にはおさまりにくくなることがあり、そのために治療のペースをゆっくりにしたり治療を中断したりすることがあります。
ECT治療で、命に関わる事故が起こることは極めて稀で、5-8万回に1回程度の確率と言われています。それらの原因は心筋梗塞や脳出血などです。
また、ECTは全身麻酔中に行うので、全身麻酔による一般的な合併症も伴います。 麻酔そのものによって命に関わることが起こる危険性は10万回に1回程度とこちらも極めて低い確率ですが、 心臓病や糖尿病、高血圧症など普段持っている病気が十分に管理されていないとこの確率はより高くなります。
不測の事態に備え、当院のECTは、麻酔科専門医が麻酔中の全身管理を行い、必要なときには迅速に緊急処置を行います。
治療も承認された機械を用いて、日本精神神経学会の「ECT推奨事項」に従い、安全を第一に考えた方法で行います。
●治療直後に多い症状
 ・ぼんやりする ・頭が痛い ・吐き気がする。
●治療経過中に起こりうる症状
 ・治療前後のことを思い出しにくくなる 
 ・物忘れが悪化する
クロザリル(CLOZARIL)
クロザピン治療薬について
クロザピンは、1969年以降、多くの国で統合失調症治療薬として承認されていましたが、1975年にフィンランドにおいて無顆粒球症の発現が報告されたことから、 各国で一時販売中止あるいは開発中止の措置が取られました。
その後、再度評価され、適応を「治療抵抗性統合失調症」に限定し、定期的な血液モニタリングの運用を実施するなど、厳しい管理下での使用が再開されました。 既承認国では承認内容が見直されるとともに、米国、英国をはじめ世界97ヵ国で、治療抵抗性統合失調症治療薬として承認・発売されています(2008年10月時点)。 わが国でも、2009年にノバルティスファーマよりクロザリルRの製品名で発売され、使用が承認されました。 安全に使用するため、好中球減少症・無顆粒球症及び耐糖能異常の早期発見及び重症化回避を目的とし、安全性確保策として、クロザリル患者モニタリングサービス(CPMS)が導入されました。 当院では2014年より院内での審議を経たうえで、治療抵抗性統合失調症の患者さんに、クロザピンの使用を開始し、効果を上げています。